配送中に事故を起こしたら?軽貨物ドライバーの初動対応

軽貨物配送では、住宅街の細い道を走ったり、荷物を届けるために何度も停車やバックを繰り返したりします。

どれだけ注意していても、相手の車との接触、駐車中の車への接触、塀や店舗設備の破損など、事故が起きる可能性をなくすことはできません。

事故直後は気が動転し、配送の遅れや荷物のことが先に頭へ浮かぶかもしれません。しかし、最初に行うのは配送先への連絡ではなく、負傷者の救護と事故現場の安全確保です。

この記事では、黒ナンバーの軽貨物車で配送中に事故を起こした場合の対応を、実際の順番に沿って説明します。

事故直後に行うこと

事故が起きたときは、次の順番で対応します。

  1. 車を安全な場所に止める
  2. 負傷者を確認して救護する
  3. 二次事故を防ぐ
  4. 警察へ届け出る
  5. 相手の情報と事故状況を確認する
  6. 保険会社へ連絡する
  7. 配送会社や業務委託先へ報告する
  8. 配送中の荷物を確認する

配送時間が迫っていても、そのまま現場を離れてはいけません。荷物の配達や委託先への報告より、負傷者の救護と警察への届出を優先します。

1.安全な場所に車を止める

事故が発生したら車を停止し、周囲の状況を確認します。

車を動かせる場合は、ほかの車の通行を妨げず、二次事故が起きにくい安全な場所へ移動します。ただし、負傷者の救護が必要な場合は、そちらを優先してください。

夜間や見通しの悪い場所では、ハザードランプや停止表示器材などを使用して、後続車に事故の発生を知らせます。

高速道路や交通量の多い道路では、車内にとどまることが危険な場合もあります。周囲の安全を確認し、ガードレールの外側など安全な場所へ避難してください。

2.負傷者を確認して救護する

事故の相手、同乗者、歩行者などにケガがないか確認します。

負傷者がいる場合は119番へ通報し、救急車を呼びます。意識がない、出血している、強い痛みを訴えているなどの場合は、通報時にその状態を伝えてください。

事故直後は本人が「大丈夫です」と話していても、時間が経ってから痛みや体調の変化が出ることがあります。

外見だけでケガがないと決めつけず、相手の状態を確認し、必要に応じて救急車を要請しましょう。

3.二次事故を防ぐ

事故車両や落下物が道路上に残っていると、後続車が衝突する危険があります。

安全を確保できる範囲で、次のような対応を行います。

  • ハザードランプを点灯する
  • 停止表示器材を設置する
  • 道路上に落ちた荷物や部品の状況を確認する
  • 周囲の人を安全な場所へ誘導する
  • ガソリンやオイルなどが漏れていないか確認する

車両の損傷が大きい場合や、積み荷が道路へ散乱している場合は、無理に自分だけで片付けようとせず、警察や道路管理者などの指示に従ってください。

4.小さな事故でも警察へ届け出る

負傷者がいない場合や、車の傷が小さい場合でも、警察へ連絡します。

相手と話し合い、「これくらいなら警察を呼ばなくてもよい」と判断するのは避けましょう。

自分の車だけを塀や電柱にぶつけた自損事故も交通事故です。三井ダイレクト損保の案内でも、自損事故を含めて警察への届出が必要とされています。

警察へは、主に次の内容を伝えます。

  • 事故が起きた日時
  • 事故が起きた場所
  • 負傷者の有無と状態
  • 事故に関係した車両
  • 壊れた物と損傷の程度
  • 積み荷の状況
  • 事故後に行った措置

警察へ届け出ていないと、交通事故証明書が発行されず、保険の手続きに支障が出る場合があります。

5.相手の情報を確認する

警察の到着を待つ間、安全が確保できる状態で相手の情報を確認します。

確認しておきたいのは次の内容です。

  • 氏名
  • 住所
  • 電話番号
  • 車の登録番号
  • 車種や色
  • 加入している保険会社
  • 勤務先
  • 車の所有者

運転していた方と車の所有者が異なる場合もあります。可能であれば、車検証や免許証などを確認し、相手の同意を得たうえで必要な情報を控えます。

相手の情報を確認するために、免許証や車検証そのものを預かったり、持ち帰ったりしてはいけません。

6.事故現場と車の損傷を記録する

事故直後の状況は、時間が経つと再現できません。

警察や保険会社へ説明できるように、周囲の安全を確保したうえで写真やメモを残します。

写真に残しておきたいもの

  • 車両同士の位置関係
  • 道路全体の様子
  • 信号や交差点
  • 道路標識や路面表示
  • 自分の車の損傷
  • 相手の車の損傷
  • 塀、建物、ガードレールなどの損傷
  • 道路上のタイヤ痕や落下物
  • 配送中の荷物の状態

損傷部分だけを近くから撮るのではなく、事故現場全体が分かる写真も残しておきましょう。

ドライブレコーダーを使用している場合は、事故前後の映像が上書きされないように保存します。保存方法が分からない場合は、電源を切る前に取扱説明書や保険会社の案内を確認してください。

メモに残しておきたいもの

  • 事故が起きた時刻
  • 走行していた方向
  • 天候と路面の状態
  • 信号の表示
  • 自分と相手のおおよその速度
  • 事故直前に見えたもの
  • 相手との会話
  • 目撃者の有無
  • 警察署名や担当警察官
  • 配送していた荷物と配送先

記憶が新しいうちに、分かる範囲で記録しておきます。不確かな内容を断定して書く必要はありません。

7.その場で示談や支払いの約束をしない

事故の相手から、「修理代だけ払ってくれれば警察には言わない」「この場で現金を払ってほしい」と言われることがあります。

その場で金額を決めたり、支払いを約束したりするのは避けてください。

事故直後には確認できなかった損傷やケガが、後から判明することもあります。また、その場で行った約束が、保険会社による事故対応へ影響する場合もあります。

相手へは、保険会社へ連絡したうえで対応することを伝えます。

相手を気遣い、お詫びをすることと、損害賠償の責任や金額をその場で決めることは別です。

8.保険会社へ事故を連絡する

負傷者の救護、安全確保、警察への届出を行った後、加入している保険会社へ事故を連絡します。

事故連絡では、主に次の内容を確認されます。

  • 契約者名
  • 証券番号
  • 契約車両
  • 事故が起きた日時と場所
  • 相手の情報
  • 負傷者の有無
  • 車や建物などの損傷
  • 警察への届出状況
  • 車が走行できる状態か
  • 配送中の事故であること

車が動かない場合は、レッカーなどの手配についても相談します。自分で修理工場やレッカー業者を手配する前に、保険会社のロードサービスを利用できるか確認しましょう。

すぐに修理工場へ車を入れたり、損傷した部品を処分したりすると、損害状況を確認できなくなることがあります。修理を始める前に保険会社へ相談してください。

9.配送会社や業務委託先へ報告する

警察と保険会社への連絡後、配送会社や業務委託先へ事故を報告します。

配送中の事故では、車の損害だけでなく、配達できなくなった荷物への対応も必要です。

報告する内容は、次のように整理します。

  • 事故が起きた時刻と場所
  • 負傷者の有無
  • 警察へ届け出たか
  • 車が走行できる状態か
  • 配送を続けられるか
  • 車内に残っている荷物
  • 破損や水濡れが疑われる荷物
  • 冷蔵品や冷凍品の有無
  • 配送が遅れる可能性のある荷物

事故の詳しい責任関係を自分で判断して伝える必要はありません。まず、確認できている事実を報告します。

荷物を別のドライバーへ引き継ぐのか、営業所へ戻すのかは、委託先の指示に従ってください。

10.配送中の荷物を勝手に処分しない

事故の衝撃により、外箱がへこんでいる、商品が割れている、冷蔵品の温度管理ができなくなったなど、荷物に損害が出る場合があります。

荷物に損傷があるように見えても、自分の判断で開封したり、処分したり、配送先へ届けたりしないでください。

次の内容を記録し、委託先へ報告します。

  • 荷物の個数
  • 外箱の状態
  • 水濡れや破損の有無
  • 荷崩れした位置
  • 冷蔵・冷凍設備の停止時間
  • 荷物の写真
  • 荷物番号や配送伝票番号

自動車保険と、配送中の荷物を対象とする貨物保険は別の保険です。

荷物の損害がどの保険の対象になるかは、事故の状況や契約内容によって異なります。加入している保険の内容と、委託先との契約を確認してください。

配送を再開する前に確認すること

事故後、車が動くからといって、そのまま配送へ戻るのは避けましょう。

外見上は軽い損傷でも、タイヤ、ライト、ブレーキ、ドアなどに問題が生じている可能性があります。また、事故直後は緊張していて、自分の痛みに気づかないこともあります。

配送を再開する前に、少なくとも次の点を確認します。

  • 警察による現場確認が終わっている
  • 保険会社へ事故を連絡している
  • 委託先から配送再開の指示を受けている
  • 車を安全に走行できる
  • 荷物を安全に運べる状態である
  • 自分の体調に問題がない

少しでも車の走行や体調に不安がある場合は、無理に配送を続けないでください。

軽貨物の配送中に起きた事故に関するよくある質問

Q. 相手にケガがなく、車の傷も小さければ警察を呼ばなくてもよいですか?

損傷が小さく見える場合でも、警察へ届け出てください。事故直後には分からなかったケガや損傷が後から判明することもあります。警察へ届け出ていないと、交通事故証明書が発行されず、保険の手続きに支障が出る場合があります。

Q. 電柱や塀に自分の車だけをぶつけた場合も警察への連絡が必要ですか?

自損事故も交通事故です。負傷者の救護や安全確保を行ったうえで、警察へ届け出てください。電柱、ガードレール、塀など、他人や公共の物を壊した場合は、その管理者への対応も必要になります。

Q. 配送が遅れるため、先に荷物だけ届けてもよいですか?

事故現場を離れず、負傷者の救護、安全確保、警察への届出を優先してください。配送中の荷物は、配送会社や業務委託先へ事故を報告し、その指示に従います。

Q. 相手から修理代を直接払ってほしいと言われたらどうすればよいですか?

その場で支払いや金額の約束をせず、保険会社へ事故を連絡して対応を相談してください。後から別の損傷やケガが判明することもあります。

Q. 配送中の荷物が壊れた場合、自動車保険で補償されますか?

自動車保険と配送中の荷物を対象とする貨物保険は別の保険です。荷物の損害が補償されるかは、加入している保険と事故状況によって異なります。委託先と保険会社へ確認してください。

Q. 車が動く場合は、そのまま配送を続けてもよいですか?

外見だけでは安全に走行できるか判断できない場合があります。警察、保険会社、委託先への連絡を行い、車の状態と自身の体調を確認してから判断してください。

Q. ドライブレコーダーの映像はどうすればよいですか?

事故前後の映像が上書きされないように保存してください。機種によって保存方法が異なるため、取扱説明書を確認します。操作が分からない場合は、むやみに映像を削除せず、保険会社へ相談してください。

まとめ

軽貨物の配送中に事故を起こしたときは、配送の遅れや荷物よりも、負傷者の救護と事故現場の安全確保を優先します。

その後、警察へ届け出て、相手の情報や事故状況を記録し、加入している保険会社へ連絡してください。

配送会社や業務委託先には、警察と保険会社への連絡後、確認できている事実を報告します。配送中の荷物に損傷がある場合も、自分の判断で処分せず、写真や荷物番号を記録して指示を受けましょう。

事故現場では、その場で示談や支払いの約束をしないことも大切です。

※事故対応や保険金の支払対象は、事故状況および契約内容によって異なります。詳しくは加入している保険会社へご確認ください。

\ 最新情報をチェック /