黒ナンバーとは?取得方法と保険の基本知識

2025年現在、副業やフリーランスとして「軽バンで荷物を運ぶ仕事」を始める人が増加しています。特にAmazon FlexやUber Eats、出前館などの軽貨物配送は、比較的始めやすい仕事の一つです。

しかし、「とりあえず白ナンバーで始めても大丈夫?」という誤解が多く、トラブルや罰則につながるケースも。そこで今回は、**軽貨物運送に必要な「黒ナンバー」**について、基礎知識から取得方法、そして忘れてはいけない「事業用保険」の選び方まで詳しく解説します。


■ 黒ナンバーとは?──営業車としての正式登録

「黒ナンバー」とは、軽自動車を事業用として使用する際に交付されるナンバープレートです。正式には「貨物軽自動車運送事業」として国(運輸支局)に届け出を行い、許可を受けた上で発行されます。

例えば以下のような用途では、黒ナンバーが必須です。

  • Amazon Flexなどの個人委託ドライバー業務
  • フリーランスでの宅配便や企業配達の業務受託
  • 出前館や企業配送センターからの商業用荷物の運搬

白ナンバー(自家用車)で荷物を運ぶことは道路運送法に違反する恐れがあり、処罰の対象になります。正しく届け出をして、黒ナンバーを取得することが第一歩となります。


■ 黒ナンバーの取得条件

黒ナンバーの取得には以下の条件を満たす必要があります。

① 軽貨物車両を使用すること

車両は「軽バン」など、**軽自動車で貨物の運搬が可能な構造(4ナンバー)**であることが前提です。5ナンバーの乗用タイプや軽トラックも対象になりますが、構造要件に注意が必要です。

② 所定の書類を揃えて運輸支局に届出を行う

「貨物軽自動車運送事業開始届出書」などを提出し、正式に営業開始を申請します。

③ 車両が保険に加入していること

  • 自賠責保険(強制)
  • 任意保険(事業用) ← ※これが重要!

任意保険は通常の「自家用」ではNG。営業用として事業用に切り替えた保険証書の提示が必要になります。

④ 営業所(自宅可)と車両の保管場所があること

原則として、自宅などが営業拠点となります。駐車スペースも確認されます。


■ 黒ナンバー取得の手続きの流れ

手続きは以下の2段階に分かれます。

【1】運輸支局への届出

提出先:各地の運輸支局(国土交通省管轄)

必要な書類:

  • 貨物軽自動車運送事業開始届出書
  • 使用する軽自動車の車検証
  • 事業用任意保険の保険証券
  • 印鑑(認印)
  • 駐車場の位置図や使用承諾書(賃貸の場合)

審査に通ると「事業用自動車等連絡書」が発行されます。

【2】軽自動車検査協会でのナンバー変更手続き

  • 連絡書とともに、ナンバー変更申請
  • 白ナンバーを返納し、黒ナンバーを新たに交付される
  • 車にナンバーを装着し、晴れて「事業用車両」として登録完了

■ 黒ナンバーと任意保険の関係:自家用と何が違う?

ここが非常に重要なポイントです。

多くの方が「車の任意保険にもう入っているから大丈夫」と考えていますが、それは自家用(白ナンバー)用の保険であることがほとんど。黒ナンバー車両は「営業目的の車両」として扱われるため、まったく別の「事業用任意保険」への加入が必要です。

【事業用任意保険に切り替える理由】

  • 事故時に「使用目的が違う」として保険金が支払われない可能性
  • 荷主や取引先から「保険加入証明書」の提出を求められる
  • 道路運送法や貨物運送約款に基づく法的責任の対象になる

■ 事業用保険の主な補償内容

補償項目内容例
対人賠償保険歩行者や他人にケガを負わせた場合の補償
対物賠償保険他人の車・建物・荷物などに損害を与えた場合の補償
車両保険自分の車両が事故・災害で破損した場合の修理費を補償
搭乗者傷害・人身傷害運転者・同乗者のケガに対応
ロードサービス事故・故障時のレッカーや代車対応(営業用は迅速な対応が求められる)

■ まとめ:黒ナンバーは「ただのナンバー変更」ではない

黒ナンバーは単にナンバープレートが変わるだけでなく、車の使用目的・保険・法的責任がすべて「事業用」へと切り替わる重要なポイントです。

副業・独立・委託配送などで軽バンを使う際は、**「正しい届出」+「正しい保険」**が必須です。知らなかったでは済まされないリスクもあるため、初めての方ほど正確な知識を身につけておきましょう

\ 最新情報をチェック /