委託ドライバーが増える今、軽バン配送に潜むリスクとは?
委託ドライバーという働き方が主流に
EC市場の拡大と共に、軽バンを活用した貨物運送業の形も変化しています。とくにこの数年で、「業務委託」というスタイルで働く個人ドライバーが急増。大手通販サイトやフードデリバリー企業の荷物を請け負い、自分の車両で個別配送を行うスタイルが広がっています。
この働き方は、自由度が高く、時間のコントロールもしやすいという点で人気を集めています。しかしその反面、「雇用されていないからこそ」トラブル時の責任をすべて自分が背負う必要があるというリスクを、多くの方が見落としがちです。
「補償されると思っていたのに…」という現実
業務中に起きたトラブルで、「保険に入っていたから大丈夫」と思っていたのに、いざというときに補償されなかった――こうした声が最近増えてきています。
例えば、配送中に荷物を傷つけてしまった場合、積載物損害の補償が保険に含まれていないと、全額自己負担になることもあります。あるいは、黒ナンバー登録をしていなかったために、業務使用とみなされず、事故の補償が一切されなかったというケースも。
夜間配送を始めたことで、元の保険契約ではカバーしきれない時間帯に活動していたことが原因で、補償対象外と判断されたドライバーもいました。
このように、「業務の実態」と「保険契約の内容」に食い違いがあると、事故や損害が発生しても補償されない可能性があるのです。
契約トラブルもリスクのひとつ
業務委託は基本的に「個人」として企業から仕事を受ける形なので、雇用契約ではなく、労働法上の保護を受けにくいという側面もあります。
たとえば、配達時間が遅れたことを理由に仕事を打ち切られたり、納品時に荷主とのトラブルが発生した際に企業側が責任を負わず、すべてを委託ドライバーに押し付けるような契約も実際に存在しています。
また、仕事を請け負った企業が契約通りに報酬を支払わなかったり、連絡が取れなくなってしまったという相談もSNS上で見受けられます。
自分を守るために見直したい「保険の視点」
こうした状況を踏まえると、「自分のために保険をかける」という意識がより重要になってきます。
特に見直しておきたいのは次の3点です。
- 黒ナンバー登録の有無と、保険が営業使用として設計されているか
- 積載物や第三者に対する損害が補償の対象になっているか
- 配送業務の内容(夜間対応、ルート配送など)と契約内容が一致しているか
また、スマートフォンやタブレットを業務に使用している場合、携行品補償の範囲を確認しておくのも大切です。壊れたり盗難に遭った際に、業務で使っていた機器は「対象外」となる保険も少なくありません。
まとめ:自由な働き方には、自己防衛が欠かせない
軽バンによる配送は、少ない初期投資で始められる手軽なビジネスモデルとして注目されています。
しかし、委託という形で働く以上、自分を守るための準備は“会社任せ”にはできません。
保険は、万一の時に「事業を続けることができるかどうか」を左右する大きな土台です。契約先が変わったり、業務内容に変化があったタイミングで、定期的に見直しておくことをおすすめします。
事故やトラブルは誰にでも起こりうるからこそ、**“守られているつもり”ではなく、“実際に守られている状態”**をつくっておくことが、これからの軽貨物ドライバーには求められています。
※こちらの記事は、営業用軽貨物保険などに関する一般的な情報や背景について記載したもので、最新の契約内容や具体的な保険プランに関する詳細とは異なる場合があります。保険に関する具体的な内容については、各保険の名称や補償内容は引受保険会社によって異なりますので、ご契約(団体契約の場合はご加入)にあたっては、必ず重要事項説明書や各保険のパンフレット(リーフレット)等をよくお読みください。ご不明な点等がある場合には、代理店までお問い合わせください。